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【福岡発 ローカル線の旅 平成筑豊鉄道でぶらり町歩き】


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博多駅から筑豊本線で直方(のうがた)駅へ。
1両編成の車両に乗り換えて間もなく、車窓になだらかな稜線が
見えてくる。
黒田武士・母里太兵衛(もりたへえ)がその姿を讃えた福智山だ。
福岡県福智町。日本航空とタッグを組み、多彩な魅力を発信する町を
歩いてみよう。


レバーを引くとエンジンがうなりを上げる。
ゆっくりと車体が動き出したら、さらにレバーを手前に引く。目指すは
150m先の停止位置。レバーを戻し、おそるおそるブレーキをかける。
急は禁物だ。「ガクン!」と同乗者がよろけてしまう。
停止位置の標識をめがけてかけては緩め、かけては緩め。

「停車位置ぴったり、上手ですね〜」。
平成筑豊鉄道の波多野淳一さんがほめてくれた。うれしい。
また運転してみたくなる。

ビール列車や結婚式の2次会列車・同窓会列車など、さまざまな
観光・イベント列車を運行する平成筑豊鉄道、通称「へいちく」。
なかでも人気は、冒頭の運転体験だ。金田(かなだ)駅に隣接する
車両基地内の線路150mを往復でき、料金は2000円(10名以上)。
簡単なレクチャーを受けるだけで、誰でも運転士になれる。

「体験された方の最高齢は73歳の男性です。うれしそうな笑顔が
忘れられません」と、波多野さんが教えてくれた。

福智町の町おこしをバックアップする日本航空とのコラボ列車
「JAL号」では、車内でパイロットなどの仕事を学ぶ航空教室や
クイズ大会を開催。
昨年は「のりものフェスタinふくち」というイベントに発展した。
航空会社と鉄道会社の異色のタッグが、新たなにぎわいを作り出して
いる。


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平成筑豊鉄道

筑豊炭田の石炭を輸送する貨物線が前身。
平成元年、第三セクターの鉄道会社として誕生した。
本社は福智町内の金田駅にある。
※運転体験は1回2万円で1か月前までに要申し込み。
詳細は同社まで問い合わせを

TEL:0947・22・1000 http://www.heichiku.net/




福智山の麓には焼き物の窯元が点在している。
上野焼(あがのやき)の里だ。上野焼共同組合理事長で、庚申窯
(こうしんがま)2代目の(こうづる)享一さんを訪ねた。

「千利休の高弟だった細川忠興が作らせた上野焼は、茶器として
発展してきました。薄作りで軽く、銅を混ぜた釉薬が出す
『緑青(ろくしょう)』が特色です」

深い黒に群青、抜けるような白、そしてエメラルドのような緑青。
色や質感はもちろん、形も多彩だ。
お銚子にぐいのみ、タンブラーにカップ&ソーサー。
普段使いの食器は値段も手頃だ。持つと手作りの温もりを感じる。

「父の智山(ちざん)も現役です。
長男の裕太は一昨年から作陶を始めました。
親子三代で上野焼400年の歴史を未来に渡していければうれしいですね」



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上野焼(あがのやき)

豊臣秀吉の文禄・慶長の役の際、朝鮮半島から招致された陶工・
尊楷(そんかい)を祖とする。
豊前小倉藩主・細川忠興が陶土に恵まれた上野の地に窯を築かせた。
以後歴代藩主が庇護し、藩窯(はんよう)として幕末まで続く。
現在は27の窯元が伝統を受け継ぐ。写真は庚申窯の享一さん



【福智町へのアクセス】

九州道八幡ICから国道200号経由約10km、
北九州都市高速金剛ICから国道200号経由約10km/
博多駅から筑豊線55分の直方駅で平成筑豊鉄道伊田線に乗り換え、
約1時間40分の金田駅下車


10月24日、25日に平成筑豊鉄道金田駅で開催される
九州最大規模のスイーツイベント「福智スイーツ大茶会」と
「へいちくフェスタ」を満喫できる読売旅行のツアーは
こちらへ。


※国の地域住民生活等緊急支援のための交付金により、
旅行代金が助成されている大変お得なツアーです!